便利に使えるフリーソフトですが、VPNに関しては無料ソフト・アプリはあまり使い勝手の良いものではありません。そう言える理由と、背景にある事情を解説します。
まともな無料VPNが無い現状
まずは無料VPNがどれも「微妙」だと言える現状を紹介します。
容量制限
無料VPNの多くは「月500MBまで」といった形で容量制限が設けられています。ダウンロードに加えアップロードの容量の合計が制限を超えると、通信がその時点で遮断されてそれ以上使うことができません。
スマホで簡単にネットの情報を収集する程度であれば、500MBもあれば十分な利用が可能です。しかしスマホでも画像が多いサイトや動画を視聴したり、PCで利用するには全く足りません。
速度が遅い
無料VPNでも(容量制限の範囲内で)有料VPNと同等の速度で利用できるものも多いです。有料版の購入につなげるための戦略としての位置づけなので、無料版でも「ちゃんと」使えます。
しかし、無料VPNの中には通信品質が劣るものも少なくありません。Ping値が10倍以上に悪化したり、ダウンロード速度が10分の1になるものもあります。
容量制限がゆるい(多くの容量を使える)ものは概ね速度が低速で、容量制限が厳しいものは逆に高速です。
セキュリティ上の懸念も
オーストラリア政府機関が実施した調査によれば、無料VPNの38%にウイルスが含まれていました。
また、同じ調査では84%の無料VPNがユーザーのWebトラフィックを何らかの形で漏洩していたとされ、無料VPNのセキュリティリスクが指摘されています。
なぜ無料VPNが成立しないのか
では、どうして無料VPNはどれもイマイチなのか。その背景にある事情を説明します。
VPNの運営に掛かる多額のコスト
VPNの運営には多額のコストが掛かります。
VPNサーバーと呼ばれる施設や、適正な容量の通信回線を確保しそれを維持して初めてVPNサービスを提供することができます。
VPNを利用した通信は全てVPNサービスを提供している会社のサーバーを経由して行われるため、そこが適正な状態でなければ快適なサービスを提供することができません。
「フリーソフト」とは根本的に違う
VPN以外にも、多くのフリーソフトや無料で使えるアプリがあります。しかし、それらと無料VPNは根本的に性質が異なります。
一般的なフリーソフトであれば、一度ユーザーにソフトをダウンロードさせれば大容量の通信が必要になることはまずありません。その点で、ランニングコストはとても少ないです(開発に掛かるコストは別として)
しかしVPNの場合は先にも紹介したとおり、利用中は絶えず大容量の通信が続くため、それに対応できる設備を用意しておく必要があります。
ランニングコストが発生する、という点が「無料VPN」を成立しにくくしている原因です。
まともに使える無料VPNもある
無料VPNの中にも、まともに使えるものが無いわけではありません。
筑波大学が学術実験を目的として提供している筑波大学VPN Gateは、容量制限なく使えるのに通信品質は有料VPNに「一歩劣る」程度の実力です。
設定・利用方法がやや難しい点はネックですが、無料VPNとしては群を抜いて良いです。これでダメだったら諦めて有料VPNを買ってください。