PC・スマホでVPNを使うにあたって、メリットとデメリット両面があります。正しく理解してVPNを役立ててください!
VPNアプリ・ソフトのメリット
まずはVPNを使うメリットを紹介します。
WiFi通信の安全性が格段に高まる
VPNの最大のメリットは、通信内容を暗号化できることです。適切に運営されているVPNを使うことで、通信の安全性を格段に高めることが出来ます。
例えば街中のカフェや空港などで「フリーWi-Fi」を使う場合、その多くは適切なセキュリティ対策がなされていません(暗号化など)
そうしたフリーWiFiに接続してしまうと、通信している内容が他の誰かに全て筒抜けになるリスクがあります。WiFi設置者であったり、周りにいる悪い人が「盗聴」出来るものが多いです。
VPNを使って通信すると、通信内容が高度に暗号化されるため、誰かにWiFiの電波を傍受されても解読不能。また情報収集目的で設置されたフリーWiFiに繋いでしまっても、情報が盗まれるリスクがほぼ無くなります。
検閲をすり抜けられる
中国など言論の自由が無い国では、政府の方針に反するサイトにアクセスすることが出来ません。例えば中国からはFacebook、Twitterは利用できません。
こうした検閲をすり抜けるために中国の国民が活用しているのがVPNです。VPNを使うことで、政府による検閲をすり抜けて自由にサイトにアクセスすることが出来ます。
また、職場や学校でPCやスマホを持ち込んでネットを利用できるところもあると思いますが、フィルタリングで閲覧出来ないサイトがある場合もあるようです。そうしたフィルタリングもVPNを使えばスルーできますし、何のサイトを見たのかバレません。
アクセス元を偽装できる
有料のVPNアプリ・ソフトでは、接続先の国を自分で選択することが出来ます。
例えば日本にいる人がアメリカ経由のVPNを利用すれば、アメリカからのアクセスであると「偽装」することが可能です。
ネットの世界には国境が無いと言われていますが、特定の国からのアクセスを受け付けていないサイトもあります。日本人もよく利用するYoutubeでも、特定の国から動画を視聴できないように投稿者が設定できる機能があります。レコード会社が一部のミュージックビデオなどにアクセス制限を設定している場合があるようです。
VPNアプリ・ソフトのデメリット
続いて、VPNを使うデメリットを紹介します。
通信速度が大きく低下するものがある
無料のVPNを利用すると、通信速度が大きく低下します。1Mbpsを切るのは当たり前で、PCはもちろんスマホでのネットサーフィンも「遅い」と感じるでしょう。
有料のVPNの中にも一部通信速度が低下するものがあります。一方で通信速度がほぼ変わらず使えるものも多いので、ちゃんと選んで利用しましょう。
情報を全て抜かれるリスク
VPNを利用すると、VPNの提供会社のサーバーを経由して通信を行うことになります。なので悪意をもって提供されたVPNを利用してしまった場合、VPNの提供者に通信内容を全て盗み見られるリスクが存在します。
また、カリフォルニア大学バークレー校の研究者らが行った調査によれば
・無料VPNの38%にマルウェアやマルウェアが含まれていた
・無料VPNの18%はユーザーのデータを暗号化していない
・無料VPNの84%がユーザーのWebトラフィックを漏らしていた
という結果が出ています。
無料だから危険、有料だから安全ということではありません。信頼できるものを選んで使うことが大切です。2009年にはNTTコミュニケーションズのVPNのシステムがウイルス感染し、接続した人がウイルス感染する事件がありました(ずさんな管理が問題になった)
一部のサイトを閲覧できない
残念ながらVPN接続をしていると、一部のサイトを利用できない場合があります。
例えばカスペルスキーセキュアコネクションに接続した状態でフリマサイト「メルカリ」にアクセスしようとすると、以下のような画面が出てサイトを一切閲覧できません。
VPN接続でメルカリにアクセスするとエラーが出る
メルカリ以外のサイトでは引っかかったことはありませんが、ほかにもVPN接続「NG
」のサイトがあるかもしれません。
一部の国では利用が「違法」
ロシアでは2017年にVPNの使用を禁止する法案が採択されました。テロ対策や違法サイトの閲覧防止が目的です。
それだけVPNは秘匿性が高く、言論を弾圧したい国家権力にとって「迷惑」なものであるということの裏返しでもあるわけですが、ロシアに行く際は注意してください。
なお、中国でVPNの使用が禁止されたというニュースがありましたが、これは誤報のようです。許可制になったものの、使用自体は禁止されていません。
もちろん日本を始め多くの自由な国では規制は全く無く、VPNの利用は「合法」です。