一部のVPNが装備している「キルスイッチ」という機能。なんだか恐ろしげな名前ですが、いったい何をしてくれる機能なのでしょうか。その役割と目的を解説します。
キルスイッチは何をするための機能?
まずは機能の役割から解説します。
接続を自動で遮断してくれます
一部のVPNソフトが持っている「キルスイッチ」機能は、何らかの事情によりVPN接続が切れてしまった場合に、自動で全てのインターネット通信を遮断する機能です。
ユーザーの誤操作、あるいはソフトの不具合によりVPN接続が切れてしまった時に、緊急で通信をストップしてくれます。
どうやって使うの?
利用方法は簡単です。
キルスイッチ機能があるVPNソフトの設定画面を開き、キルスイッチを有効にするだけです。私が確認したかぎりでは、初期設定でキルスイッチが有効になっているVPNは無かったので、使いたい場合はユーザー自らキルスイッチを有効にする必要があります。
何に役立つの? キルスイッチの目的は
そんな機能、何の役に立つの? と思った人もいるかもしれません。キルスイッチの重要な目的を掘り下げて解説します。
意図しない通信を遮断する
何らかの事情によりVPN接続が切れてしまった際に発動するキルスイッチ。
その重要な目的は、VPN接続無しでの「素の通信」を遮断するところにあります。
VPNは自分のプライバシーを守ったり、セキュリティ向上のために使うものです。VPN接続が切れたことに気づかずに利用してしまうことで、様々なリスクが生じる恐れがあるため、それを防ぐためにキルスイッチがあります。
キルスイッチが役立つシーン
では、具体的にキルスイッチはどのようなシーンで役に立つのか。実際の使用例を紹介して終わります。
リスクのあるWiFiに接続している時
VPNを利用することで、通信内容が暗号化されるため、第三者に通信を傍受されても解析が困難になります。
最近は街中でも自由に使えるフリーWiFiが増えていますが、その多くには通信内容を誰かに盗み見られるリスクがあります(パスワードが公開されている、あるいはそもそもパスワードが掛かっていないものが多い)
便利なフリーWiFiを更に安全に利用するために、適切にVPNを利用することが重要です。キルスイッチがあることで、意図せずVPNを経由せずに通信してしまい、自分の情報が流出することを防ぐことができます。
言論の自由が認められていない国で
世界には言論の自由が認められていない国が多く存在します。そのような国では、自由にウェブサイトにアクセスすることも出来ません。
VPNは、そうした言論が制限されている国で暮らす人たちの間で広く活用されています。例えば中国ではYoutubeやFacebookの利用が本来であれば出来ませんが、VPNを利用することでそれらにアクセスすることが可能です。
その程度のライトなユーザーであれば、キルスイッチが無くとも大きな問題にはならないでしょう。
しかし、過去には中東の民主化運動「アラブの春」で、若者たちがVPNを利用してFacebookにアクセスし、そこで様々な情報発信をしたおかげで運動が盛り上がったということもあります。
政治的な活動をしている人たちにとっては、VPNの利用は自分たちの生命・身体の安全を守る上でとても大事なことです。そうした環境で、万一何かの拍子にVPN接続が切れてしまったら、何が起こるのか。キルスイッチは身の安全を守る「最後の砦」とも言えます。
キルスイッチ機能があるVPNは?
キルスイッチ機能は海外企業が提供しているVPNを中心に実装されています。VPNの比較の比較表に機能の有無を掲載しているので、こちらを参考にしてください。